メガネの小言。

幻の祝辞。

2018.06.13 Wednesday





しょうだい君、あやかさん、並びに御両家の親族の
皆様、本日は誠におめでとうございます。
心より御祝い申し上げます。

ご紹介にあずかりましたわたくし
新郎しょうだい君の勤務先
株式会社ひばり工房の代表、池田と申します。



彼が来てもうかれこれ8年の歳月が流れました。

17歳で高校中退した少年に
はたしてこの地味な仕事が長続きするとは
考えてもいませんでした。
ただ、茶髪でだらしない風貌とは裏腹に
気持ちのいい挨拶、如何なる時も時間を守る
そして何より 言われる前に自分で考えて
行動すること、この3つを兼ね備えていました。
今の社会人でもなかなか出来ないことを
17歳の少年は当たり前として日々を過ごしました。


ある大雪の冬の日、他の従業員がスリップや渋滞で
遅刻しますと連絡がある中で
まだ車に乗れない彼は安物のジャンパーを着込み
原付バイクで何度も転びながら
会社にいつもの時間にやってきました。
ストーブの前で足のしもやけをかきながら
鼻水を垂らしながら何もなかったかのように
作業服に着替えて仕事を始める。

そんな少年を一人前に育てなければという
使命感にかられたのを思い出します。

自動車学校の費用も自分で貯めて
車も型遅れのシャコタンクラウンを
半分貯金から半分は私からの無利子で
月々1万円のローンで購入しました。
卒業祝に新車に乗れる同級生を横目に
彼は着実に力をつけてきました。


昨年、過労により緊急入院した私は
それでも病床より仕事の連絡をすると
「そんなに俺が信用できないのか」
と、そんなように言われた時に
彼の才能を伸ばしきれてない自分に気づきました。


その年、彼は店長としてひばり工房の舵取り役として
新しい顔となりました。



今日の晴れ舞台を境にあなたは
次のステージに上がって下さい。

家族を持ち守るべきものができました。
次の世代に自分の経験を伝え
どのような環境でも自分の行いひとつで
沢山のことを学べるということを
伝えて下さい。

腐ることなく愚直に進めば
道は明るいという事を伝えて下さい。




大変長くなりましたが私の挨拶と返させて頂きます。



本日は誠におめでとうございます。







という、挨拶の予定でしたが
感極まって涙、鼻水で何を話したか
わからないという祝辞でした。















おわり。