メガネの小言。

父親と息子

2016.02.28 Sunday





久しぶりの旅である。


仕事で東京に行く。

なんていい響きだ。
まるで敏腕社長の如く
革靴をカツカツ鳴らせて
搭乗口向かう。











ANAかJALなら完璧だが
格安チケットジェットスター。


身の丈と言う言葉は嫌いではない。












目的地は秋田県。
初めての東北入りである。


直航便がない為、東京に一泊。
ついでに、昨年上京し就職した
息子と呑む約束をする。

18歳で住み込みで働く。
計算じゃ3ヶ月持てば大したものと
思いつつ、1年経とうとしている。

父親譲りの飽きやすの好きやす
困難から目をそらし、敵前逃亡の
癖が感じられない。


まぁその辺りをじっくり話そう。












宿泊先は新宿歌舞伎町アパホテル。


田舎者にグッとくる響きで決定。





チェックインするも息子の仕事終わりまで
時間があり過ぎる。


部屋のテレビをつけると
絶対見ろと友人に勧められた
映画のタイトルが。











「セッション」



いや、参った。
あっという間の2時間。
久しぶりに熱くなった。
今まで見た映画の中で最高傑作。

単純なストーリーなのに
このテンポ感やスピード感は
CGやアクションが幼稚に感じる。
体が勝手にリズムとる。

究極の「好きこそものの上手なれ」である。

見ないと人生損する。
言い切れる。












歌舞伎町で飲み始める。

凄い人混みである。
花の金曜日は死んでない。


かっこいい親父を演出しようと
小洒落た店を探す。


小洒落てない店がない。
何処もカッコよすぎる。



ここ美味しいよと息子に決められる。


いやはや東京はお任せしよう。











ビールで乾杯。

もちろんこうやって呑むのは初。

料理をオーダーするのも息子。




ジョイフル親父の出番は無さそうだ。











昔から親子らしい会話はしなかった。
友達関係の延長的な会話ばかり。


職場での数々の衝突を話しだす。
自分の事は棚に上げての正義感。
幼い時から変わらない。
ただ、言葉にする勇気には
昔から感心してた。


料理店で仕事してるが
アパレルの仕事がやりたいとの事。

なんでもいい。
ただ東京で10年食っていければ。



手取り9万円での東京生活は
19歳の洋服好きの彼には
かなり厳しいようだ。


給料日まえの休日は部屋にこもる。
幸いに映画見放題らしく
彼にはうってつけ。


車好きだけにワイルドスピードや
アクション系は徹底的に見ていた。
この辺りは父親譲りで
映画は人生豊かにすると確信してる。

酔いも回り始め父親ぶって
ちょいといいとこ教えてやろと
先ほど見た「セッション」を勧めた。


「あれは最高、3回も見た…」


想定外の答えだ。

話が盛り上がる。

ひとつの映画を肴に酒が進んだ。


飲みすぎた…


店を出た時は何処に帰ればいいかも
わからない、さすが歌舞伎町。














そんな親父を察してか
息子が進む方向を目で教える。






親父と息子の「セッション」。







終わり。